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豚革の、その傷の意味さえ愛おしむ ーニッポンのヒャッカ第4回ー


「TOHKOTO(トウコト)」という名の革製品のブランド。言葉通り「問うこと」という意味で、モノのあり方や価値を「トウコト」をコンセプトに、2017年、千葉県松戸市に合同会社CRASSULAを設立したのは二人の若者。代表社員の松本昇さんと業務執行社員の中林翔平さんだ。二人は中学校の同級生で、もともとバッグの製作に携わっていた松本さんが中林さんを誘い、中林さんが二つ返事で同意。「TOHKOTO」という名の自社製品を生み出すショップ兼オフィス兼作業場を構えた。

tohkotoは自社一貫の製作

「私たちが大切にしているのは、100%丁寧な手づくりで、どの場面でも使いやすいバッグとは何か、という考えです。『TOHKOTO』は、そうした自分たちの問いかけを形にしているブランドです」と中林さんは言う。
 「TOHTOKO」のバッグは、デザインパターンの作成から裁断、縫製を全て社内で行っている。革や各パーツの選定などの細部に至るところまで、小回りが利くからこそできる。ミシンの縫い目ひとつも、ほつれないように丁寧に調整することでクオリティを維持している。

「TOHKOTO(問うこと)」から生まれた答えとは

お手玉のように掴みやすいシルエットの小物入れ

 そんなブランドのコンセプトである「問いかけ」を形にしたのが、主力商品「鬼灯(ホオズキ)」シリーズだ。赤くふんわりとふくらんだ植物のホオズキのように、柔らかくモノをくるむようなバッグのイメージで名づけられた。
「『鬼灯』シリーズで使っているのは全て豚革です。革のバッグは長く使い込むほど味わいが出てきますが、牛革はどうしても高価で重いなどの課題もありがちです。今までのバッグづくりの経験上、重くて持ち歩けないというお客様の声も多く伺ってきた中で、もっと軽くて柔らかく、持ちやすい素材ということで着目したのが豚革なのです」と中林さん。
 もともと豚革は、靴の中敷きや裏地などの摩擦の多い部分に使われているほど、耐久性には優れているという。さらに牛革に比べ、重さは半減するほど軽くすることもできる。
「豚革はまさに鬼灯の軽やかなイメージ通りでした。その軽さをお伝えするために、私たちのバッグはグラムで重量を明記しています。また、豚革は毛穴があるので通気性もよく、消臭効果にも優れているんですよ」。

日本の革へのこだわり。命の意味を問う

hozukiシリーズの商品は全10色のカラーバリエーション

二人がさらにこだわったのは、豚革の中でも「メイド・イン・ジャパン」だった。最近では様々な製品で「MADE IN JAPAN」の表記はありつつも、実は原材料は外国製の品も。そうした現状にも「TOHTOKO」らしく、二人はそれで良いのかと問いかけた。そこで自分たちのブランドの原材料は、日本タンナーズ協会に認められた革のみを使用。日本製の選ばれた革のみに付けられる「ジャパン・レザー」のタグが確かな品質の証だ。
 その素材を大切に最大限に生かすためには、とにかく無駄を出さない工夫をしているという。革の端を捨てないために、小さな四角いケースを作っているほどだ。
「命ある動物の革をあますことなく形にすることも、大切なミッションだと思っています。もともと生き物ですから豚の個性によっては、ケンカをした跡のキズやシワが表面に表れている革もあります。そうした事実も天然素材だからこそで、命を大切にするためのモノづくりをするうえで、お客様にはその点もお伝えしています」と中林さんは教えてくれた。
 天然素材なのだから、唯一無二。機械的に同じ商品をつくるのとはわけが違うという当たり前のことを、実は日々の暮らしの中で買う側は意外に忘れがちかもしれないと、気づかされる。
 そして心なしか少し照れたように「キズも全部愛してください。それも含めてバッグです」と話す中林さん。その声に、松本さんがまるで楽器を奏でているような、優しいミシンの縫製の音が重なる。二人は今日も「メイド・イン・ジャパン」の意味を、使い手にも優しく問いかけてくれている。

TOHKOTO:公式サイト

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