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伝統に「かわいい」をオン!した熊野筆ーニッポンのヒャッカ第11回ー


周囲を山々に囲まれた、人口2万5000人ほどの小さな町、広島県安芸郡熊野町。10人に一人は筆づくりに関わるとされるほどの、国内屈指のブランド筆「熊野筆」の産地だ。

 熊野筆の歴史は江戸時代から。農閑期の仕事として筆づくりを学んだ者が熊野に帰り、その技術を広めたことに始まるという。昭和になると、書道筆づくりの技術を生かして化粧筆なども生産されるようになり、広島県の伝統工芸品にも指定。熊野筆は技術と品質、生産量ともに全国にその名を知られるようになった。

 その伝統の熊野筆をつくり続けながら、女性の心をつかむキュートなフォルムの化粧筆を売り出している元気なメーカーがある。ふんわりと咲いたような花の形や、ハート型の毛先の化粧筆で、話題に事欠かない株式会社晃祐堂だ。いったいどんな会社で、どんな熊野筆をつくっているのか、常務取締役の西垣晴生さんにきいてみた。

工場では製造過程から品質チェックまで見学もできる

「もともと弊社は書道筆の穂首のみをつくるメーカーでした。化粧筆は30工程ほどですが、書道筆の作業工程は70から80工程もあり、より高い技術力が必要とされます。弊社はその技術を生かして化粧筆を手がけています」

 熊野には「筆司」と呼ばれる職人がいるが、その中でも12年以上の経験と優れた技術者で名人と認められた職人が「伝統工芸士」に認定される。この肩書は書道筆の職人のみに与えられるものだというが、晃祐堂には現在2名の伝統工芸士がいる。
 つまり、化粧筆のみを扱う工房や企業には伝統工芸士はいないわけだ。事実、晃祐堂では今なお書道筆も製造・販売し、伝統技術は各種の商品に確実に反映されている。

伝統工芸士が原毛をチェックし、選毛する。品質に関わる重要な作業

ハート、フラワー……女性を虜にするブラシたち

艶やかな「フラワーシリーズ」のバラ型パウダーブラシ
上から見ると、毛先がいかに計算された形で整えられているのかがわかる

 晃祐堂の化粧筆で大人気なのは「ハートブラシ」シリーズ。毛先がふんわりとふたつ丸く盛り上がっていて、横から見るとかわいいハート型なのだ。ブラシの毛の部分が淡いピンク色で、毛先にいくほど濃いピンク色のものもあり、とにかくキュート!
 チーク用、パウダー用、洗顔用とそれぞれあり、ギフトとしても人気だそう。

 また、ブラシの先が花びらのようにふわりとした形に整えられた「フラワーシリーズ」のブラシも大好評。バラ型のパウダーブラシや花型のチークブラシが、伝統の製法を維持しつつもかわいさを追求した商品として、地域産業の協議会から受賞されるなど、業界も太鼓判を押す。さらにこのシリーズ、形状・模様などの独創性の保護を図る産業財産権の登録を要する意匠権を持つほどのオリジナルグッズなのだ。

フラワー洗顔ブラシ

「ブラシは穂先が命です。穂先の整形には細心の注意を払っていますが、弊社のこだわりは毛先を一切カットしないことです。良質な天然素材の良さを生かしたブラシは肌触りが断然違います。そのため毛先は採取されたままのデリケートな状態で加工しています」

 国内では獣毛は生産されていないため、筆の原料の毛はすべて海外から輸入しているという。ロシアや中国、北米などの寒冷地が良質の原毛の産地で、現地の工場で調達する際には、自分たちの目で品質チェックしているとのこと。さらに筆職人による工場での検品と、製造後の最終検品との2段階のチェックを行うという徹底ぶりだ。

「フェイスパウダーやチークなど、ボリュームを必要とするブラシには山羊やリスの毛。イタチの毛は弾力に優れているのでアイメイク用やリップブラシなどに適しています。
 化粧筆は女性が毎日肌に直接当てて使う道具ですから、なめらかな肌ざわりでストレスがないことが大切です」

 確かにブラシによっては、ペンキなどの刷毛のように穂先がスパッと平らにカットされているものもあるし、軽くなでてみるだけで肌には固いとわかるものまで、ピンからキリまである。
 そんなブラシの中からも良質の品を選ぶにはどうしたらいいのだろう。
「売り場で直接肌に当てられるようでしたら、ぜひ試してみて、感触をご自身で確認なさるのが一番です」
と西垣さん。

 「かわいい」を凝縮した極上ブラシ。
 部屋にあるだけで、なんだか華やいだ気分にさせてくれる小物。
 鏡に向かう毎日のメイクタイムに、こんな逸品を使うと想像しただけで、世の女性はテンションが上がらないわけはない。


晃祐堂:公式サイト

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