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愛媛の柑橘の香りを届けるハンドクリーム―ニッポンのヒャッカ第16回―


伊予柑、みかん、甘夏、柚子、ブラッドオレンジ、レモン……。
甘酸っぱい香り、さわやかでスッキリした香り、甘く熟れた香り……。
 エッセンシャルオイルからボディシャンプー、バスパウダー、ルームコロンまで、柑橘系の果実果皮から抽出した天然精油を使った芳香アイテムのブランド、「媛香蔵(ひめかぐら)」。その品々はまるで、今、その場でフルーツの皮をむいたかのようなフレッシュでやさしい香りがすることで、人気だ。

「媛香蔵」を手がけているは、柑橘系果実の名産地、愛媛県にある三洋興産だ。その事業部長であり専務取締役の飯尾さんは、もとは遊泳プールに関わる業務に携わっていたという、驚きの経歴の持ち主だ。
「プールに関わる業務をしながら、学校の少子化問題や地域の過疎化をはじめ、地元の閉塞感を肌で痛感してきました。その原因を自分なりに考えた時、愛媛の魅力と価値に改めて目を向けることに気づいたのです」

「媛香蔵」の商品展示と飯尾さん

 また、東京で働いていた経験も持つ飯尾さんは、愛媛と言えば、誰もがみかん、柑橘系のイメージが浸透していることを再認識したと言う。
「地域の価値を見出し、換金できる地域活性化スタイル」のビジネスモデルを試行錯誤したうえで、「媛香蔵」の誕生にこぎつけた。
「地元の農家の方々にとっては青果で売るのが一番なのですが、それ以外にも通年で果実を生かした利益構造が作れたら」という飯尾さんの思いが、農家の方々と共にウインウインの関係をつくり、ともに発展できる「媛香蔵」へと注がれたわけだ。

飯尾さん(左)と10年以上のおつきあいのある有機農家の丹下さん(右)
丹下さんが栽培している青みかん

「農家の皆さんが果実を摘む作業を摘果(てっか)というのですが、時期によって香りに違いがあります。例えば1品種で摘果時期が違う温州みかんは、まだ青い10月くらいは酸っぱい香りを楽しんでいただけますので」

 しかも、これなら持続可能な地域社会事業にもなり、地元に利益を還元できる。
瀬戸内のいいもの、愛媛のいいものを発信したいという一心で始めた事業は、もう10年になる。

暮らしのワンシーンに、至福のひととき

 「媛香蔵」の数あるアイテムの中でも特に人気なのはハンドクリームだ。
「今、芳香商品の市場は、長く香りが残るものと、無香料に大きく二分化されています。その中で柑橘の香りは、塗る時に香りが広がるのが特徴で、ライフシーンを邪魔することなく使っていただけます」

 確かにハンドクリームを取り出した時に、ふわりと香る。手に馴染ませていくうちに香りは優しく漂う。ハンドクリームをつける、そんなひとときが心身のリフレッシュタイムになる。そしてつけ終わった後は、しっとり感やさっぱりとした使用感は残るものの、気づかないうちに香りは気にならなくなっている。

「扱っている精油は9種類あり、一般的には圧搾法という方法で抽出されますが、うちの場合はほとんどが、マイクロ波減圧蒸留法です。低温でじっくり蒸留するので、よくお客様には『本物のよう』なさわやかな香りだと驚いていただけます」

みかんの皮をミンチ機にかけている様子。これをその後、蒸留機の釜へ
蒸留している様子。泡の上部分が油で下は蒸留水。この油の部分をハンドクリームに使用

 素材も天然素材にこだわり、パラベン、シリコン、鉱物(ミネラル)、動物性原料はゼロ。保湿成分はシア脂、マカデミアナッツ油、アボカド油、オリーブ油などを厳選している「媛香蔵」のハンドクリーム。タイプは伸びのよい「スムース」、しっとりとした「モイスチャー」、より保湿力の高い「モアモイスト」の香りも異なる3種類。
 どんな風に選べばよいのだろう。飯尾さんは
「もちろん、お好きな香りで選んでいただければと思いますが、例えばライムやレモンはさわやかなので、スムースタイプに使用しています。つけるとフレッシュで清々しさを感じていただけますので、気分転換したい時にいかがでしょう。
 しっかり保湿したい時は、やはり冬が旬の、伊予柑の香りのモアモイストなどがおすすめです」

 ハンドクリームの香りを、季節で使い分けて楽しむなんて、考えたこともなかった。

「文化が豊かになればなるほど、天然の香りの大切さが注目されているように思います。愛媛の柑橘類本来の香りで癒されてもらえたら嬉しいです」
 手を潤すためのハンドクリームに、香りというプラスアルファを楽しむ暮らし。ハンドソープにしても、ボディシャンプーにしても、元来の機能に加わった遊び心は、人を癒してくれる。しかも、それが天然の香りならばなおさら。
「媛香蔵」のハンドクリームは、そんな愛媛の香りそのものを使う人に感じさせてくれる。

「まだまだ悩みはあります。地域のよいものを知っていただきたいと思いつつ、地域のお土産、名産品にとどまらない方法はないかな、と。でも『日本のいいもの』になると地域性が薄れてしまうのではないかと(笑)。
 そんな試行錯誤をしながら、前進するしかないかと思っています」

 いつか、愛媛が、南フランスのグラースのような香りの町として知られるくらいになってくれたら。その時、「媛香蔵」が、あの有名なロクシタンのようになっていたら……!
 飯尾さんの夢と熱意は続く。ずっと先だとしても、今やる意義を確信しながら。

媛香蔵(ひめかぐら):公式サイト

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